狂歌(きょうか)




『狂歌(きょうか)』

狂歌とは、57577の短歌と同じ文字数による、短歌の滑稽バーションといっていい形式の和歌です。川柳と並び称され、内容や形式の違いは、狂歌が短歌と同じ文字数、川柳が俳句と同等の文字数といった程度です。

内容は、季語を必要とせず、社会風刺を基調とし、皮肉っぽさや主観的な主張があくまで滑稽さを装って盛り込まれたものです。

狂歌の代表的な例としては、掛詞のような技法を駆使し切った次のような和歌があります。

  泰平の 眠りを覚ます 上喜撰 たつた四杯で 夜も眠れず

こちらはうっかりすると、安定した世の中で、とても良いお茶を飲み、たった4杯しか飲んでいないのに夜眠れなかった、と言っているだけの字面に見えるものです。

しかし、黒船が来航した際に詠まれた狂歌であり、ある日、たった4隻の蒸気船が現れ、誰もが夜眠れないほどの天下騒乱をもたらす、といった世情を将軍たちが眠れずと揶揄するような気風をもって他人行儀に書かれたもの、つまり社会風刺の、時代を映す短歌として、国語ではなく社会科の教科書等に載るほど有名です。




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